先日、大阪・釜ヶ崎で5日間に渡り、労働者による暴動があった。
石つぶてやガラス片が道路に散乱し、
バリケード状に積まれた自転車が燃やされた。
機動隊と労働者、それぞれ数百人がぶつかり合った。
その地では、1990年にも大規模な暴動があり、当時高校生だった僕は大きなインパクトを受けた。
とにかく僕の住む大阪は、反権力の気分が大きい街なのだ。
そして敬愛する2本の映画、高橋洋監督『夜は千の目を持つ』と黒沢清監督『カリスマ』に対し、
僕自身どこに感応したのかと言えば、「世界滅亡を期待する」というアナーキーな気分に他ならない。
そしてそれをストレートに吐き出したのが今作である。
しかし権力というものは恐ろしい。天網恢恢疎にして漏らさず、である。
この映画の撮影中、母親から電話があった。
父が捕まった、と言うのだ。
無免許運転という反権力的犯罪で、だ。
さらに母親が警察署へ行くと、泥酔した父は、拘束服を着させられ、廊下に寝っ転がされていた。
なんという反権力的な父の姿。
母親はあまりに情けない父の寝姿に泣いたという。
僕の住む大阪は、反権力の気分が大きい街なのだ。
皆さんも映画を撮る時は気をつけた方がいい。
権力の目はどこにでも光っているのだ・・・
(西尾孔志)