今回のセレクションでは、この映画が唯一れっきとした撮影所の作品です。
Vシネマ(厳密に言うと日活は、にっかつVフィーチャー)はビデオ屋の店頭からすぐ消えてしまうので、なかなか見られなくなってしまうんですが、この作品もそうでした。
日活から当時社会問題になっていた「ストーカー物を」というお題で、おお、グラン・ギニョールが出来る!と、北川監督、根岸プロデューサーと嬉々としてホンを作りました。タイトルを考えたのは根岸プロデューサーです。お題だけで映画が作れるのが、プログラム・ピクチャーのいい所で。もっとも予算は相当タイトで、普通犬なんか出せないんですが、北川さん、根岸さんの粘りで実現できました。劇中絵も新谷尚之さんたちに無理を言ってお願いして。由良さんが血を流しているスチルの背後に新谷美術が写ってます。
先日、アメリカの映画研究者から「あなたはジョルジュ・フランジュの『顔のない眼』が好きでしょう?」と言われてビックリ。てっきり『インフェルノ』を見てるのかと思ったら、さすがに見てなかった。何とかDVD化して、世の中に広めたい映画です。(高橋洋)