映画秘宝誌にておこなわれた鼎談に引き続いて、『太平洋の亡霊』の脚本家、辻真先さん、評論家の切通理作さんをお迎えして、1時間の濃密なお話を伺いました。
本作『狂気の海』成立に多大な影響を与えた、『サイボーグ009?太平洋の亡霊』について、いろいろお伺いしました。
話はじょじょにホラーな方向に。辻先生、ホラーは苦手だけど、「人形怪談」だけはお好きとのことで、そういえば『009』の最終回『平和の戦士は死なず』の人形も怖かった‥‥。
で、「霊」の話に。『太平洋の亡霊』で起こったことは、すべてマッド・サイエンティスト平博士の"思念"の物質化だと思いますか?
最後に登場する平博士の息子は、博士にしか見えませんよね。009たちの客観に入ると、誰もいない。あくまで"思念"の物質化なら、009たちにも見えるはずでは?
との高橋の問いに「あなたは『きけ、わだつみのこえ』という映画をご覧になってますか? あのラストで戦争で死んだ人々はあの世へと旅だって行きますよね。私は彼らの後ろ姿に向って言いたかった。あなた方、向こうに行っちゃっていいんですか? まだやることがあるでしょ? こっちに戻ってらっしゃい!」
『太平洋の亡霊』が生まれた根っこに触れた貴重な言葉でした。