本日は塩田明彦監督とのトーク。さんざんしゃべり合って来た二人だけど、壇上で話すのは実に久しぶり。お客さんは満員の盛況でした。
塩田さんが提起したのは「映画と人類の壮大な闘争」なる言葉‥‥。
高橋洋の映画作りは常にそれがテーマであり、そして大失敗し続けるのだー。
ということなんだけど、うん、きっとそうなのだろう。
僕は映画と人類が調和することにずっと反対してるのだ。
塩田さんは『ラドン』のクライマックスを引き合いに出して、そこから『狂気の海』の重要なヴィジョンである富士山について、スリリングな議論を展開してゆくのだけど、ここはネタバレになってしまうので‥‥。たぶん塩田さんは人間と山とがもっと一体化した世界の慟哭を目指しており、僕にとって山はトコトン人間を拒絶し続け、慟哭しないものとしてあるのだろう。二人の富士山観の違いはとても面白かった。富士山は当然ながら「映画」なるものとも重なって来るし、塩田さんの最初の言葉もそこに集約されて来る。
あ、塩田さんは、劇中のある死に顔(これもネタバレに‥‥)を絶賛してくれました。
トーク後は、カップリングの短編集の上映。ラストを締めくくったのは、今回のカップリング・チラシのメイン・ヴィジュアルでもあった『山嵐』。締めくくるにふさわしい胸を打つ映画だとしみじみ思いました。